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プレミアムフラワーの花コラム

第91回:ラベンダー~時をかけるアイテム

2025.04.1

 「あの時代に行きたい」「あの歳に戻れたら」…。誰もが一度は夢見るタイムトラベルは、SF小説や映画の定番とも言えるテーマです。
 今話題の日本アカデミー賞最優秀作品賞の受賞作「侍タイムスリッパ―」やSF映画の大ヒット作「バック・ツゥ・ザ・フュ―チャー」では落雷がタイムスリップのきっかけになりました。ドラマ「Jin」では脳外科医が階段から転がり落ちて江戸時代にタイムスリップしました。大きな衝撃がきっかけになることが多いのですが、中には花がタイムトラベルのアイテムになる話もありました。
  ※冒頭の写真は「ラベンダーパーク多可」(兵庫県多可郡)

香りをかくと気を失う

 1967年に刊行された筒井康隆の小説「時をかける少女」=写真=は二度にわたって映画化され、アニメ作品にもなったSF名作です。中学三年生の芳山和子は掃除をしていた理科実験室でラベンダーの香りをかいで意識を失い、気が付くと前日の朝に戻っていました。
 それから時を超えた青春ストーリーが繰り広げられますが、上映後は「ラベンダーの匂いをかぐと、気を失う」という都市伝説が一部で広がりました。

ハーブの女王

 シソ科ラヴァンドラ属のラベンダーは「ハーブの女王」とも呼ばれ、古くから薬用や香水の原料などとして利用されてきました。
 英語のlavenderは「洗う」という意味のラテン語のlavareに由来、古代ギリシャ・ローマの時代は洗濯や沐浴などに利用されていたと言われています。
 6月から7月にかけて、紫や青色の小さな花弁の花を咲かせます。一面、ラベンダーが生い茂った北海道・富良野の景色=写真=が思い浮かびますが、広く九州までの各地で見ることが出来ます。
※写真は「ふらのワインハウス ラベンダー園」(ふらの観光協会公式サイトから転載)

アロマテラピーの代表的な香り

 ラベンダーは鑑賞用としても人気がありますが、何と言っても優しくて爽やかな香りが魅力的です。心を落ち着かせ、緊張や不安、怒りを和らげる効果があります。その精油はアロマテラピー(芳香療法)の代表的な香りと言われ、“万能精油”という別名もあります。
 花言葉は「幸せが来る」「期待」「優美」「清潔」など。香りから連想したのでしょう。「あなたを待っています」という言葉もあります。これは、ある内気な少女が愛しい人に思いを伝えられずに待ち続け、一輪のラベンダーになってしまったというヨーロッパの伝説に由来します。
 ラベンダーの香りをかげば、うっとりして夢見心地になって時を忘れる。そんな感じで、芳山和子は時をかけたのでしょうか。

香りをかがせたくない人は

 小説「時をかける少女」によると、身体移動能力刺激剤という薬品にラベンダーの花を乾燥させた香料を加えると、一度に時間と場所を移動する薬が出来るとか。
 そんなことが本当に出来れば……。どの時空へ行きたいかは、人によって様々です。ウクライナ侵攻を続けるロシアのプーチン大統領なら、世界の陸地の6分の1に当たる広大なユーラシア大陸北部を支配していたロシア帝国の時代を選ぶに違いありません。ウクライナの人々は、ロシアに攻められる前の平和な時代を渇望するでしょう。
 だとすれば、プーチン大統領にだけはラベンダーの香りをかがせたくはありません。

※参考図書
「時をかける少女」(著者:筒井康隆、発行所:角川書店)
「NHK趣味の園芸 ラベンダー」(著者:下司高明、発行所:NHK出版)
「園芸クラブ ラベンダー」(著者:鷹谷宏幸、発行所:誠文堂新光社)

※参考サイト
「ふらの観光協会公式サイト」
「花言葉 誕生花」
「映画.com」
「じゃらんニュース」

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コラムライターのご紹介

福田徹(ふくだ とおる)

元読売新聞大阪本社編集委員。社会部記者、ドイツなどの海外特派員、読売テレビ「読売新聞ニュース」解説者、新聞を教育に活用するNIE(Newspaper in Education)学会理事などを歴任、武庫川女子大学広報室長、立命館大学講師などを勤めました。
花の紀行文を手掛けたのをきっかけに花への興味が沸き、花の名所を訪れたり、写真を撮ったりするのが趣味になりました。月ごとに旬の花を取り上げ、花にまつわる話、心安らぐ花の写真などをお届けします。

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