花コラム
花コラム 第59回:サボテン~さらに短くなった“花様年華”
2022.07.1 第59回:サボテン~さらに短くなった“花様年華” 近くの神社の境内を通りかかると、木の根元がピンク色に彩られていました。何だろうと思って近づくと、根元に生えたサボテンが花を咲かせていました。 サボテンの自生地は南北アメリカ大陸で、日本には16、7世紀頃にポルトガルから渡来しました。当時はポルトガルではサボテンの樹液が石鹸代わりに使われていたことから、ポルトガル語のシャボン(石鹸)がサボテンの語源になったーというのが定説です。サボテンは半世紀前まではシャボテンと呼ばれ、1959年に開園した「伊豆シャボテン動物公園」=写真=は当時の名前を園名にしています。 西部劇では腕を上へ突き出したようなサワロサボテン=写真左側=がお馴染ですが、この他、球状や平らなものなど形は様々。2000種以上はあると言われています。 がっかりして散歩を続けると、今度は車道沿いの緑地帯で違う種類のサボテンが黄色い花を5輪つけていました。大きさは桃色短毛丸と同じぐらいですが、花びらの先端は切りそろえたようで、形はかなり違います。茎が団扇のような形をしているウチワサボテンです。写真を撮っていると、近くの方が「ここにサボテンなんかなかったのに、鳥が種を運んできたんでしょうかね。いつの間にか繁殖して、花まで咲かせたんですよ」と教えて下さいました。 サボテンの花はなかなか咲かないと思っていたけど、そうでもないぞ。そう思ってキョロキョロしながら歩くと、道端や民家の軒先などで幾つかのサボテンが花をつけていました。白い大振りの花、黄色い小さな花、一つの茎に連なるようにして咲く桃色の花、ツクシが膨らんだような赤い花……。茎の形が異なるように、花の色も形も多彩です。 肉厚の茎や根に水を貯めている多肉植物のサボテンは、砂漠のような乾燥したところでも育ちます。しかし、花を咲かせる時は内部に貯めた水だけでは足りません。雨が降る時を待って花を咲かせ、種を作って子孫を残します。 それにしても、固い表皮や棘に覆われた無骨な形の茎と美しい花は何ともアンバランスです。オーストラリアのサボテン栽培家ダン・トーレ氏は著書の中で次のように書いています。 ※伊豆シャボテン動物公園の写真は同公園のホームページから転載。プレミアムフラワーの花コラム
棘のある茎の部分から細い棒状のものが15㎝ほどニョキニョキと伸びて、その先端で直径6、7㎝の色鮮やかな花が開いています。細長い花びらを束ねたような形をしています。
「刺々しいサボテンから、こんな綺麗な花が」と驚きました。石鹸代わりだったシャボテン
様々な形が2000種以上も
図鑑と照らし合わせてみると、境内にあったサボテンは球状の桃色短毛丸でした。翌日も境内に見に行きました。しかし、残念なことに花はもう萎んでいました=写真右側=。1日しか咲かない一日花だったのです。5輪の黄色い花
ウチワサボテンは繁殖力が強く、生態系への影響が大きいとして「世界の侵略的外来種ワースト100」に指定されています。時折り、街中でも見かけますが、花が咲いているのを見たのは初めてです。花の命は短くて
サボテンの花期は短く、数時間からせいぜい2、3日しか咲いていません。なかなか花が咲かないのではなく、咲いているところに出くわす機会が少なかったということでしょう。さらに短くなった“花様年華”
梅雨時の花と言えば真っ先にアジサイが思い浮かびますが、サボテンも負けてはいません。サボテンは雨の中で、人生で最も美しい瞬間《花様年華》を迎えるのです。
ところが、今年は梅雨入り後も雨は少なく、6月下旬から晴天が続くにつれて、サボテンの花も見かけなくなりました。ただでさえ短いサボテンの《花様年華》は、さらに短くなったようです。愛され、憎まれる複雑な植物
『美しいと感じる者もいれば、不快だと感じる者もいる。生き物ではないと考える者もいれば、生気にあふれていると考える者もいる。サボテンほど複雑で、愛され、憎まれる植物はほとんどない。』◇
※参考図書
「サボテンの文化誌」(著者:ダン・トーレ、訳者:大山晶、発行所:原書房)
「シャボテン新図鑑」(著者:シャボマニアック、出版社:日本文芸社)
「サボテン大好き」(著者:飯島健太郎、発行所:講談社)
※参考サイト
「【庭の花たち】とっても綺麗なサボテンの花が咲きました」
「Plantia」
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