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花コラム

花コラム第86回:花の世界の冤罪(えんざい)事件~セイタカアワダチソウ

プレミアムフラワーの花コラム

第86回:花の世界の冤罪(えんざい)事件~セイタカアワダチソウ

2024.11.1

 静岡県で起きた一家4人殺害事件で強盗殺人罪で死刑を言い渡された男性(88)の無罪が10月、逮捕から58年もの歳月を経てようやく確定しました。死刑囚として人生の大半を獄中で過ごした男性の無念さは察して余りあります。
 冤罪事件は後を絶ちませんが、花の世界でも冤罪はありました。汚名を着せられたのは、花粉症の“犯人”とされてきたセイタカアワダチソウ(背高泡立草)=写真=です。

背が高く、花が泡立って見える

 セイタカアワダチソウ=写真=はキク科アキノキリンソウ属の多年草本で、草丈は1~2.5 m。第二次世界大戦後にアメリカから輸入物資に付着するなどして大量に日本に入ってきました。背が高く、花や実が泡立って見えることから、この名前がつけられました。

秋の野を彩る花なのに評判は芳しくない

 強い繁殖力を持ち、河原や空き地などで群生します。茎の先端に鮮やかな小さな黄色い花をいっぱい咲かせて秋の野を彩りますが、評判は芳しくありません。

花粉症の“犯人”にされた訳は

 昭和40年代、生産過剰になったコメの生産量を調整する減反政策がとられ、全国各地で休耕田が広がりました。その地でセイタカアワダチソウが大量に生育し、ススキやキキョウなどの在来植物が少なくなっていきました=写真=。そして、50年代に入ってから花粉症患者が急増しました。
 花粉症はセイタカアワダチソウが増えた後に蔓延した。セイタカアワダチソウの近くでは花粉症の患者が多いようだ…。こうしたことが重なって、セイタカアワダチソウは花粉症の“犯人”とされました。

“無実”が証明された

 セイタカアワダチソウの“無実”を証明したのは、弁護士ならぬ植物研究者らでした。よくよく調べてみると、セイタカアワダチソウは虫媒花。虫を介して受粉を行うので花粉を飛ばすことはなく、花粉症の原因にはなりません。
 真犯人はブタクサ=写真=でした。ブタクサはキク科ブタクサ属の1年草で草丈は0.3~1.2m、先端に小さな黄色い花を咲かせます。風媒花で、花粉は風に乗って散らばります。背が高いことや花の付き方が似ていることから、セイタカアワダチソウはブタクサと混同されていたのです。
 セイタカアワダチソウはお風呂に入れると実際に泡立ち、薬草風呂にも使われます。アトピーや喘息などの改善、炎症の緩和などの効用もあると言われています。実は人にとって役に立つ草本だったのです。

「誤解をして申し訳ありません」

 “無実の罪”を被り続けたセイタカアワダチソウに、聖徳大学付属取手聖徳女子高の校長先生がブログで謝っています。
 《長年目の敵にしてきた「セイタカアワダチソウ」は花粉症の原因ではなく、薬草にもなる良草だったのです。本当に長い間誤解をしており申し訳ありませんでした。》

それでも“指名手配”は続く

 セイタカアワダチソウを見る世間の目は、校長先生のように変わったでしょうか?そうではないようです。
 セイタカアワダチソウは今もなお、環境省の重点対策外来種のリストに載っています。福井県大野市のホームページでは「セイタカアワダチソウの駆除にご協力ください」と見つけ次第、根こそぎ引き抜くよう市民に協力を呼びかけています=写真=。花粉症の“冤罪”が明らかになっても、セイタカアワダチソウの“指名手配”は続いています。
  ※写真は大野市のホームページから転載

第二の冤罪事件?

 セイタカアワダチソウが嫌われ続けているのは、他の植物の発芽や成長を妨げる物質を出し、生態系を崩す(アレロパシー作用)のではないかと心配されているからです。その物質でセイタカアワダチソウも自家中毒を起こし、勢いが衰えてきているとも言われています。
 しかし、この物質は特に強力ではなく、さほどの影響を他の植物へ与えないのではないかという研究もあります。野生の植物には、まだまだ分からないことが色々とあります。もしかしたら、セイタカアワダチソウは“第二の冤罪”を被りかけているのかもしれません。

※参考図書
「雑草のサバイバル大作戦」(作・画:里見和彦、発行所:世界文化社)、
「植物の生きる知恵 最強無敵の雑草たち」(著者:稲垣栄洋、小島よしを、発行所*家の光協会)

※参考サイト
「日本植物生理学会 みんなのひろば セイタカアワダチソウのアレロパシーと自家中毒について」
「みんなの趣味の園芸 NHK出版」
「聖徳大学付属取手聖徳女子高等学校 校長ブログ2020.11.5」
「効能が素晴らしい!セイタカアワダチソウの色々ご紹介!」
「【セイタカアワダチソウ】嫌われ者は実は健康の救世主だった!」
「環境省 生態系被害防止外来種リスト」
「大野市公式ホームページ 2021.2.18」

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コラムライターのご紹介

福田徹(ふくだ とおる)

元読売新聞大阪本社編集委員。社会部記者、ドイツなどの海外特派員、読売テレビ「読売新聞ニュース」解説者、新聞を教育に活用するNIE(Newspaper in Education)学会理事などを歴任、武庫川女子大学広報室長、立命館大学講師などを勤めました。
花の紀行文を手掛けたのをきっかけに花への興味が沸き、花の名所を訪れたり、写真を撮ったりするのが趣味になりました。月ごとに旬の花を取り上げ、花にまつわる話、心安らぐ花の写真などをお届けします。

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